◆2000年 2月(NO.52)
 
喘息の吸入療法
 現在、喘息で亡くなる人は毎年6〜7千人にのぼり、患者数は年々増加しています。喘息は慢性的な疾患のため、気管の粘膜が炎症を起こして気道が狭くなっても、その症状に慣れてしまい、病状を過少評価する恐れがあります。そのため発作を繰り返し、重症化する傾向があるので注意が必要です。人の体はアレルゲン(抗原)が体内に入ると、それに反応して抗体が作られます。抗体は本来は体を守ものですが、アレルギー体質の人はアレルギー反応を起こし、細胞から発作の原因となる化学物質が生まれます。それらが気管支などに作用して、粘膜の腫れ・痰の分泌・気管支まわりの筋肉の収縮が起こり、その結果として気管支が狭くなって、ゼイゼイヒューヒューと発作を起こすことになります。喘息の治療は症状や治療の目的によって異なりますが、現在は吸入療法を中心に行うのが主流です。吸入薬は噴霧状にした薬を口から吸入するため、気道や鼻の粘膜に直接届いて作用します。つまり即効性と効率が良いのです。
    <インタールの吸入>
    インタールはアレルギー反応の途中に作用し、発作を防ぐ働きがあります。発作の原因となるアレルゲンが体の中に入っても、インタールを吸入することで発作が起こりにくいのです。定期的に吸入することで発作を起こりにくい状態に保つことができます。
    <ベネトリン・ベロテック・メプチンの吸入>
    これらの薬は発作によって収縮した気管支を広げて息苦しさを解消します。直接気管支の粘膜荷作用するため、即効性があり発作止めには最適です。
    <ベコタイド・アルデシンの吸入>
    ステロイド薬(副腎皮質ホルモン)と呼ばれるものです。この薬は気管支のむくみを取り、刺激に対して気管支が反応して狭くなるのを防いで、気管支を健康な状態に保ちます。喘息発作の回数が増すほど気管支の粘膜に傷が残り、刺激に敏感になってさらに発作が起こります。『小児期の発作の回数が喘息の将来を決める』とも言われます。喘息と診断されたら症状が起こったときだけでなく、辛抱強く治療と予防を心掛けてください。
 
小児のくすり(下痢止め・整腸剤)
 下痢止めの薬は腸の働きを抑えたり、体の水分が腸から吸収されて体外に出るのを防いだりする働きがあります。ひとくちに下痢といっても原因は様々です。診察をして必要であれば検査をし、症状に最も合った薬を処方する必要があります。例えばロペミンは単純な下痢のとき、腸の運動を抑えて下痢を止めます。アドソルビンは腸の余分な水分を体外に出して下痢を止める働きがあります。タンナルビンは腸内に膜をつくり炎症を保護し、余分な水分を吸収します。整腸剤は腸内細菌のバランスを整えるもので、いわゆる善玉菌で出来ています。ビウフェルミンが代表にあげられ、他にレベニン・エンテロノンや乳酸菌を主成分とする乳幼児のミルラトやガランターゼ等があります。必要な善玉菌が失われたのを補うもので、下痢の原因によってそれぞれ処方されています。
いむた小児科は久留米市諏訪野町です