◆2000年 5月(NO.55)
 
子どもの心臓病
 子どもの病気の大半はウィルスや細菌による感染症ですが、赤ちゃんの時期には持って生まれた先天性の疾患を見つけることも小児科医の大切な役目です。先天性の疾患の中で心臓病の占める割合は比較的多く、百人五十人にひとりくらいとも言われます。軽症の場合は自覚症状もなく元気な場合が多く、定期健診や風邪などで受診したとき心臓の雑音が見つかることがあります。先天性のものは妊娠初期におこると言われますが特定はできません。遺伝による染色体の異常、妊娠中のウィルス感染、薬やタバコの飲み過ぎなども原因すると考えられています。症状が重くなると、元気がない、お乳の飲み方が遅い、唇や手足の爪の色が悪い、などの症状が現れてきます。このような場合は大学病院などと連携を図って専門的な検査が必要です。代表的なものには心房心室中隔欠損症、動脈管開存症、ファロー四微症などがありますが、心臓病があっても普通の子どもと変わらない生活ができる(軽症)、ある程度大きくなったら手術が必要な(中等症)、すぐに手術の必要がある(重症)と様々です。そのため病気が見つかったら進行度合いをみる為、定期的に受診して生活指導を受ける必要があります。
 その他、後天性のものとして、インフルエンザや風邪のウィルスなどが原因する心筋炎や細菌性の心内膜炎、溶血性連鎖球菌が原因のリウマチ熱による、リウマチ熱性心臓病などがあります。リウマチ熱は5〜12歳くらいの子どもに多く、約半数が心臓を侵されています。扁桃炎や咽頭炎のあとで発病することがあり、風邪の流行時にはとくに注意が必要です。
 
小児のくすり(抗アレルギー剤)
 アレルギー反応はアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)が抗体と結びついて起こります。アトピー性皮膚炎では湿疹やかゆみ、喘息では咳や呼吸困難など症状は様々です。内服薬の抗アレルギー剤はヒスタミンなどの化学伝達物質に働いて、アレルギーの症状が起こらないように作用します。小児ではセルテクト、ザジテン、ゼスラン、アレギサール、インタールなどの細粒やシロップがあります。抗アリルギー剤は症状が出たとき、飲んですぐ効果が出るわけではありません。定期的なくすりの服用で徐々に効目を発揮します。その為、症状が出たときだけでなく、日頃からの定期的な受診による生活指導や薬剤の服用が大切になります。その他、皮膚の湿疹や目のかゆみがある場合は、塗りぐすり(外用剤)や点眼剤などを併せて使用します。

いむた小児科は久留米市諏訪野町です