◆2000年10月(NO.60)
 
おたふくかぜ
 おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は、ムンプスウィルスによる感染症です。唾液腺の中で最も感染をおこしやすい耳下腺炎が腫れ、おたふくさんのようになるのでこの名前がついています。
 おたふくかぜに感染するのは、主に幼児期から学童期のこどもで、流行の時期は春から秋に多いようです。その為、おたふくかぜは学校伝染病の第二類に分類されています。症状としては2〜3週間の潜伏期の後に軽い発熱があり、片側あるいは両側の耳の下や顎の下に腫れを伴うのが一般的です。
 腫れは2〜3日でピークに達し、それまでは痛みも強く発熱も39℃に及ぶこともあります。治癒までには7〜10日程要しますが、注意しなくてはならないのが合併症です。細菌の繁殖による混合感染で、リンパ腺の腫れや化膿、無菌性髄膜炎の発生も多いようです。
 また、難聴の原因になったり髄膜炎を引き起こすこともあります。成人の場合は精巣炎、卵巣炎などの合併症に特に注意を要します。

 治療は対症療法が中心になります。熱を下げる、痛みを和らげるなどの処置で、気分を楽に保ってあげてください。
 混合感染が考えられるときは、抗生剤の服用で細菌の繁殖を押さえることも必要です。現在、おたふくかぜワクチンの予防接種は任意接種となっています。流行の程度や状況を判断して接種を受けてください。
 一度罹れば一生免疫を得ますので、ワクチン接種が最も有効な予防法なのは言うまでもありません。学校や保育園はウイルスの排出期はしばらくお休みです。不明の点はかかりつけの先生にご相談ください。
 
熱性けいれん(けいれんの症状と原因)
 熱性けいれんは、乳児や幼児が発熱性の疾患に際して起こすけいれん発作です。けいれん中には意識を失い、体全体が固くなったり手足がけいれんしたりします。大半のけいれんは30℃以上の発熱を伴い、発熱の1日目が起こりやすいようです。
 けいれんと同義語で『ひきつけ』と言う言葉がありますが、通常は持続時間が1〜2分程度の、乳幼児にみられる全身性のけいれんを意味します。とくに乳幼児が熱性けいれんを起こしやすいのは、脳の抑制系の発達が未熟なためで、その他に両親の遺伝的素因が影響するときもあります。
 けいれんを何回か繰り返すうちに、無菌性が認められる場合には、てんかんも考慮する必要がありますのでご注意ください。

いむた小児科は久留米市諏訪野町です