◆2000年11月(NO.61)
 
乳幼児突然死症候群
 いつも通り元気な赤ちゃんが、寝ている間に突然呼吸が止まって死亡する、原因のはっきりしていない病気です。欧米と比べると日本での発生率は少ないのですが、それでも年間約500人以上の赤ちゃんが犠牲になっていると推定されています。この病気は生後3〜18週頃の赤ちゃんに多く、原因の特定が難しいので、きちんとした予防対策がとれないのが現状です。指摘されている原因には、呼吸器系の未熟さ、うつぶせ寝、両親の喫煙や人口に乳保育などがあげられています。赤ちゃんの未熟さという部分は避けて通れませんが、育児環境の改善で突然死のリスクを減らすことが出来ます。平成10年度の厚生省の全国調査で、うつぶせ寝にすると仰向けで寝かせるより約3倍、保護者の喫煙、人口乳保育は約5倍、発症リスクが高いということが分かってきました。米国では94年から厚生省が仰向け寝を勧めるキャンペーンを展開し、発生率を38%減少させたとも報告されています。その他に、冬の厚着や暖房ので赤ちゃんを暖め過ぎることも、危険因子のひとつに指摘されています。こどもは風の子といわれるように、大人と比べて薄着で良いのです。11月は乳幼児突然死症候群(SIDS)の対策強化月刊となっています。今一度、育児環境を見直してください。
<育児環境の改善>
自力で寝返りが出来ないうちは仰向け寝で育てる。
赤ちゃんの部屋では禁煙。
できれば母乳保育。
赤ちゃんのあ暖め過ぎに注意。

 いずれも突然死との因果関係が証明されている訳ではありませんが、これらの危険因子と疑われるものを、ひとつでも減らしてみる努力は大切です。
 
熱性けいれん(けいれんの治療と予防)
 乳幼児にけいれんが起こった場合は、まず、発作が単なる熱性のものか、それ以外の原因によって起こったものか確認が必要です。症状の経過観察や諸検査の他、症状が重かったり感染症を伴う場合は入院治療が必要な場合もあります。発熱が原因の一般的な熱性けいれんは、現在、発熱時に抗けいれん剤で再発を予防する方法をとります。そのため、発熱時には解熱剤で熱を下げる、抗けいれん剤で予防する、などが主な治療です。けいれんの起きやすい人や長時間の経験がある人は、熱が上がり始めたら早めに薬を使いましょう。くすりは現在、腸から直接吸収されて効率がよい坐薬が主流です。抗けいれん剤を使う場合は、30分以上時間をあけて解熱剤を使うことに注意してください。

いむた小児科は久留米市諏訪野町です