◆2001年 3月(NO.65)
 
乳糖不耐症
 あまり聞き慣れない病名ですが、腸の乳糖消化酵素の不備で起こる病気です。乳幼児は急性胃腸炎の後に症状が出やすいので注意が必要です。この病気には先天的なものと後天的ながあります。

 先天的なものは、生まれつき腸の中に乳糖を分解する、ラクターゼという酵素が欠けているために起こります。お乳を飲み始めると頻繁に下痢が発生し、そのままでいると脱水症や慢性的なおむつかぶれ、栄養障害が引き起こされます。

 後天的なものは、ウィルスや細菌が原因する急性胃腸炎のとき、腸の粘膜に障害が起こって乳糖分解酵素が一時的に出なくなることがあります。そのため、ミルクの中の乳糖分解ができずに下痢になるのです。

 乳糖不耐症は乳糖を含んだ食物を、正常に消化することが出来ません。他の代用食で栄養補給が可能であれば、しばらく乳製品を控えて治療しますが、ミルクしか飲めない赤ちゃんは対策が必要です。消化酵素を補給するか、乳糖を含まない特殊ミルク(ラクトレス、ソーヤミール、ボンラクトなど)の使用を勧めることがあります。

 いづれも下痢が長引いたり、酸っぱい匂いの水様便など、おかしな点があれば受診して診断を受けてください。先天的な不耐症の場合は、特殊ミルクに切り換えるか、また、いつまで続けたらよいかなど、かかりつけの小児科でご相談ください。先天的に不耐症のある乳児は、お乳を飲み始めると酸っぱい匂いのする水様便かが繰り返します。体調が良いのに下痢が続くときは、一度検査を受けた方が良いでしょう。また、感染症に罹った後にいつまでも下痢が止まらないときも、不耐症が考えられます。腸内細菌群を整えるために、乳酸菌製剤の服用なども必要な場合があります。
 
シリーズアレルギー(アレルギー患者の急増)
 近年、アレルギー性疾患を持つ人が増加しています。日本人の約30%以上の人が何らかのアレルギーを持ち、国民病とまで言われるようになりました。

 罹患率は先進国で高く推移し、生活環境が清潔で便利になる程、人の免疫力は低下するのかもしれません。アレルギーが増えた最も大きな原因は、生活環境の変化だと言われます。車の排気ガスや工場排ガスなどによる大気汚染。工場や家庭排水での水質悪化。また、住まいの気密性が増したり冷暖房が完備したことで、ダニが増殖しやすい環境になったのも大きな要因です。その他には加工食品の普及による食生活の変化も忘れてはなりません。
 添加物を多く含んだ高カロリー高蛋白の食品が、アレルギー体質を作りやすくしています。両親がアレルギー体質であれば、遺伝的要因の場合もあります。親のアレルギー体質は約70%の確立で体質遺伝します。

いむた小児科は久留米市諏訪野町です