◆2002年 4月(NO.78)
 
先天性股関節脱臼
 生まれつき股関節(股の関節)がはずれているものです。日本人にはこの病気が多く、約百人に一人くらいの割合と言われます。 男児より女児に多く見られ、四〜六倍発生しています。

 痛みなどがないので、乳児期に外見のみでは発見しづらく、歩く時期になって発見されることもあります。 母子や姉妹に発生が多く見られることがありますが、これといった原因は不明です。

 また、場合によっては先天性筋性斜頭や、先天性内反足などを合併していることもあるので注意が必要です。 現在は超音波診断法による新生児検診もあります。 脱臼の多くはこの時期に発見されていますが、発達途中で股関節の開きや動きが悪い、伸ばした両足の長さが違うときは、小児科や整形外科を受診してください。

 治療は脱臼の程度や年齢によって違います。乳児期で発見された場合は、まず股オムツで股関節の発達を待ち、治りが悪い時はズボン吊りのようなRB装具をします。お誕生前後では牽引して、脱臼している関節を元通りにはめ、ギブスで包帯で二〜三か月固定し、マッサージや運動療法も必要になります。
 牽引して元にもどらないときは、手術の必要も出てきます。

 将来、歩行障害を残さないためにも、なにより早期発見、早期治療が欠かせません。 先天性股関節脱臼は、根気強く治療することが必要です。短期で数か月、長期では数年かかる場合もあります。

 中途半端な治療はこどもの将来に、歩行障害などを残すことになります。専門医でしっかりと確実に治療してください。また、ギブスなどで固定した場合は、オムツかぶれなどを起こしやすくなります。お尻は清潔を保って注意しましょう。

いむた小児科は久留米市諏訪野町です