◆2002年 6月(NO.80)
 
夏カゼとウィルス
 夏カゼという言葉がありますが、冬のカゼが夏に流行するのではありません。夏カゼは冬のカゼと症状が異なり、原因ウィルスも全く違います。冬は低湿乾燥を好むインフルエンザウィルスやロタウィルスが中心ですが、夏は高温多湿を好むアデノウィルス、エンテロウィルスなどが活躍します。

 夏カゼの流行は6〜8月頃で、冬のカゼと違い咳や鼻水は少なく、高温、発熱、嘔吐下痢などが主な症状です。こどもは体重あたりの水分量が大人の約3倍あり、腎臓の機能も未発達です。そのため、夏カゼに罹ると脱水症状を起こしやすく、十分な水分補給が必要です。

 また、夏は虫さされ、とびひ、あせも、水いぼなどの皮膚疾患も多発。日頃のスキンケアも十分こころがけましょう。
主な夏カゼ
 
◇プール熱(咽頭結膜熱)
アデノウィルスが原因するもので、高熱と眼の炎症、喉の痛みが特徴です。プールを介して流行しやすいのでプール熱という名前がついていますが、プールに入らなくてもうつります。
 
◇ヘルパンギーナ
コクサッキーA群ウィルスが原因し、乳幼児の間で流行します。高熱が出て上あごの奥に複数の水ぶくれが出来るため、食事ができず、水も飲めなくなって脱水症になることがあります。
 
◇手足口病
腸の中にいるコクサッキーA16、その他のエンテロウィルスが原因し、4〜5歳頃の乳幼児の間で流行します。熱はあまりなく、手の平、足の裏、口の中に小さな水ぶくれが出来ます。一昨年は、手足口病が起因する髄膜炎が流行しました。

 夏は暑さや夜更かしで体力が消耗しがち。発疹性の高熱が出たら夏カゼ症候群の到来です。こまめな観察でこじらさないように注意しましょう。

いむた小児科は久留米市諏訪野町です