2003年10月(NO.96)
 
☆喘息疾患と貼り薬
 気管支喘息は気道(肺の空気の通り道)の粘膜がアレルギー性の炎症を起こして狭くなり、ゼーゼーヒューヒューという喘鳴を起こしたり、咳や息苦しさの症状が現れる疾患です。現在、日本での患者数は約三百万人とも言われ、こどもから大人までに幅広い現代病になりました。

 喘息は慢性的な疾患のため症状が出る度に慣れてしまい、気がつかないうちに悪化していることもあるようです。気道の粘膜には好酸球などの炎症細胞が著しく浸潤しています。そのため炎症が繰り返し起こると上皮が破壊され、気道の過敏性が進み少しの刺激でも発作が起きてしまいます。「小児期の発作の回数が喘息の将来を決める」とも言われ、喘息発作を予防することが治療の重要なポイントです。

 気管支喘息の症状は主に夜間から明け方にかけて起こります。これは明け方の四時〜六時頃の睡眠中に、コルチゾール値の低下で、呼吸機能が低下するために起きるとされています。この現象をいかに防止するかが大切ですが、今までは就寝前に薬を飲んでも、明け方の肝心の時間帯には効力が落ちていることもあったようです。
 
ゼンソクテープで発作を予防する
 近年は貼り薬の「ゼンソクテープ」が開発され、明け方の症状悪化を予防することが可能になってきました。ゼンソクテープは皮膚に貼る気管支拡張剤で、薬の成分は皮膚を通して少しずつ体内に吸収されます。

 そのため薬の効果は二十四時間続き、夜間に貼れば翌朝から夕方まで発作を抑える効果が持続するのです。テープを胸や背中等に貼るだけなので、薬嫌いなお子さんにも便利な薬と言えます。

 喘息は症状が出たときだけの治療でなく、日頃の病気との上手なお付き合いが大切です。アレルゲンの除去や炎症の治療、ゼンソクテープでの発作予防などで上手に病気をコントロールしてください。

いむた小児科は久留米市諏訪野町です