◆2007年05月01日(NO.139)
 
日本脳炎を警戒
 平成17年5月の厚労省通達(日脳ワクチン接種の積極的な推奨差し控え)で接種率が低下する中、幼児の日脳患者発生が懸念されています。昨年9月に熊本県でワクチン未接種の3歳男児が頭痛や発熱で開業医を受診し、その後に全身性のけいれんにより総合病院に搬送。強い意識障害、瞳孔の左右差、項部硬直、ケルニッヒ微候などが見られ、抗体検査で日本脳炎と診断であることが判明。幸い、脳低温療法などの処置が早かったことで、一命を取り止め退院に至りましたが、若干のマヒが残りリハビリを余儀なくされました。    今、日本の予防接種は国の副作用責任回避や医療費予算の削減などで大幅に後退しています。こどもを重大な感染症から守るために保護者の予防接種に対する前向きな理解が必要です。
 
予防接種のリスクと日脳感染の怖さ
 厚労省が推奨中止の勧告を出したのは、女子中学生が日脳ワクチン接種後にADEM(急性散在性脳髄膜炎)になったのがきっかけでした。ADEMはウイルスの感染後や各種ワクチン接種後に起こるとされ、脳や脊髄が冒されてけいれんや運動マヒなどが起こります。発生率は百万回〜二百万回に一回程度とされ、運動マヒなどの後遺症が残ることがあります。

 自然界ではブタの体内で増殖したウイルスを蚊が人に運んで感染します。毎年行われるブタの抗体検査では、日本脳炎ウイルスの陽性率が80%以上になる県が多数あり、常に感染の危険性は存在しています。まだ、予防接種がなかった昭和25年頃、年間千人以上発生した患者の大半は10歳前後でした。今は目立った発生は見られませんが、こども達が日脳ワクチン未接種のまま大きくなるのは心配です。日本脳炎の怖さをしっかり認識して、ワクチン接種で予防することが望まれます。小学校入学前までには済ませたいですね。

いむた小児科は久留米市諏訪野町です