◆2007年06月01日(NO.140)
 
はしかの流行を懸念
 はしか(麻疹)はウイルスの感染によって起こる小児期の代表的な病気。これまでは大人が罹ることはまれなケースと考えられていましたが、今年は関東地区を中心に10〜20代の患者が急増しています。はしかは感染力が強いので、高校や大学の集団生活の場で患者が広がり、授業の中止や臨時休校なども出ているようです。一度罹ると免疫ができて二度と罹ることはないと言われているはしか。でも、幼児期の一回だけのワクチン接種だけでは、大人になるまでに免疫が低下してしまうとの指摘もあり、今回の流行が懸念されています。幼児と違ってこの年代は行動範囲が広く、旅行や帰省などでウイルスが拡散されて幼児のはしか感染が加速されるのが心配です。
 
はしかの感染なぜ怖い
 はしかの症状は発熱、咳、鼻水など初期は風邪と同じです。最初の発熱から3〜4日して発疹を伴う高熱が続く場合は、はしか感染も考慮しましょう。はしかウイルスは体の免疫系の中心となるリンパ球などで増殖します。そのため、一時的に免疫不全状態になり、肺炎や脳炎といった重い合併症を起こすのです。神経系に後遺症が残ると手足のマヒなどが発生するので油断はできません。日本では50年ほど前まではこどもを中心に、年間数千人規模の死亡者が出ていたはしか。今でも年間数十人のこどもが合併症で死亡する、怖い病気に変わりはありません。
 
一歳になったらはしかワクチン
 米国では徹底したワクチン接種で、はしか患者発生は殆どないと言われます。日本では昭和53年から満一歳以上のこどもに対してワクチンの接種が始まりました。でも、今でも発生率は先進国の中でトップクラスで、感染リスクは小さくありません。今は麻疹・風疹の混合ワクチン(MR)として、2回受けるようになっていますので、一歳になったら早目にMRワクチンを受けましょう。

いむた小児科は久留米市諏訪野町です