◆99年 6月(NO.44)
 
小児同伴の海外渡航
 近年、海外旅行や家族を伴っての海外赴任など、外国に出かける機会も多くなりました。外国での生活は日本国内と違い、生活習慣や環境が変わります。事前に渡航先の情報収集と出国までの計画的な準備が必要です。
 まず、渡航先の日本大使館や領事館、日本の海外医療相談所の連絡先を必ず調べておいてください。特に小児同伴の場合は渡航先の感染症の動向の把握も重要です。
 海外の感染症の情報は『外務省海外安全相談センター』の情報を、インターネットで見ることも出来ます。個人ごとに今まで受けた予防接種・罹った病気などを調べて、家族それぞれが違った内容の接種を受ける必要も出て来ます。時間がかかりますので早めに計画してください。
 また、子供を現地の日本人学校に入学させる際に、予防接種証明書(英文等)が必要な場合がありますので、前もって現地へ問い合わせが必要です。
 子供は虫歯の数も多く、現地で治療が必要になることもあります。海外では十分な治療が困難な場合もあり、必ず受診(健診)して相談してください。
 企業で働いている人が6か月以上海外赴任するときは、健康診断が法律で義務づけられています。長期になる場合は家族全員の健康診断も考慮に入れて健康チェックをしてください。
 救急セットの薬はいざというときに役立ちます。抗生剤・解熱剤・咳止め・ステロイドクリームなど、必要なものを揃えてください。とくにマラリアの発生地域では抗マラリア薬(日本では入手不可)や、虫除け対策が不可欠になります。
海外安全情報国別・海外安全情報FAXサービスのご案内 感染症危険情報
 
予防接種Q&A(海外渡航前の接種は)
 まず渡航先の感染症情報を調べ、何の病気に対する予防が必要なのかを知ることが重要です。そのうえで、今までに済ませた予防接種や罹った罹った病気をチェックして、必要な接種を渡航までに受ける必要があります。場合によっては接種証明書を英文などで準備しなくてはならないこともありますので、早めに計画することが大切です。海外渡航の際に必要な予防接種をすべて受けるには数か月かかります。やむをえない場合は、医師が必要と認めた場合に限り2種以上の接種を同時に行うこともあります。渡航までにあまり日時がないときは主治医にご相談ください。
 
年々増加サルモネラ食中毒
 サルモネラ菌による食中毒が増えています。サルモネラ菌は約2千数百種あり、主に食肉や卵などから感染します。その中で最も多いのが鶏卵を主な感染源とする、サルモネラ・エエンテリティディスという(SE)菌です。これらの菌の中には薬の効きにくい耐性菌もあり、抵抗力の弱い乳幼児やお年寄りが感染すると厄介です。『安心して生で食べられる卵を』ということで、日本鶏卵認定機構が今年5月に発足しました。この機構は、卵を生む鶏やそれらの鶏が食べる餌、洗卵までの生産過程でサルモネラ菌の有無を調べ、早ければ来年夏頃には認定マーク付きの安心卵を市場に出す予定とのことです。 家庭で食中毒を防ぐには、保存や調理の段階で菌を増やさないことが大切です。卵はパックのまま冷蔵庫で保管。調理は十分に熱を通す。半熟や生食の場合は安全の確かな新鮮卵を選ぶなどに注意して食中毒対策をしてください。

いむた小児科は久留米市諏訪野町です