◆99年 8月(NO.46)
 
咽頭結膜熱(プール熱)
 夏風邪の一種で名前の通り、喉と目に炎症を起こして高い熱が出ます。熱は38℃以上の高熱が4〜5日続き、目の充血、喉の痛みが主な症状です。喉が痛いので食べ物や飲み物もあまりとれず、夏の暑い時期にはつらい病気のひとつです。原因はアデノ型ウィルスによるものでプールなどを介して幼児や学童に集団発生することが多く、『プール熱』とも呼ばれています。流行の時期は夏の始めから秋口にかけて多く、10歳未満が約90%をしめています。一度罹ると免疫が出来ますが、原因ウィルスの型は数種類あるので油断は出来ません。感染力も強いので注意してください。細菌「7型」という厄介なものも報告されています。

 また、しばらくは高い熱が続くので、プール熱と診断されたら安静を第一にしてください。原因ウィルスに直接効く薬はありませんので、治療は対症療法が中心になります。解熱剤で熱を下げる、喉の痛みを和らげる、抗生剤入りの点眼剤などで細菌感染をおさえます。これと似た病気にヘルパンギーナがあります。

 家庭でのケアは脱水予防と家族への感染予防を心掛けてください。喉の痛みが強く熱もあるので食欲が落ちますが、喉に通りやすいプリンやゼリー・おかゆ等、好みのものを工夫してみてください。また、水分はイオン飲料や麦茶・スープ・みそ汁などを併せて十分に飲ませ、脱水症状を起こさないような注意が必要です。アデノ型ウィルスは感染力が強く、2週間程は感染の恐れがあります。手洗いやうがいの励行、タオルを共用にしない、しばらくは兄弟でお風呂に入らない、などで予防してください。保育園や学校はしばらくお休みになります。かかりつけの先生にご相談ください。
 
予防接種Q&A(日脳の接種を1回しか受けていない)
 今年2回接種するか、今年1回接種して来年もう1回接種が良いでしょう。日本脳炎のワクチンは不活性ワクチンのため1回だけでは抗体ができにくく、3歳頃から15歳頃までに定期的に接種を繰り返します。接種の間隔が開いてしまったときは、ワクチンの効果が効率よく効くように接種してください。

 日本脳炎のワクチンの予防効果は90%以上で、効果は3〜5年程は持続します。西日本地区では現在、年間約30人くらいの患者さんが報告されています。もし、自然感染で発病したら治療法がなく、後遺症も残り死亡率も高い病気です。予防接種のスケジュールを立てて、もれずに受けるようにしてください。
 
福岡市も小児医療費無料化を検討
 少子化を背景に「子育て支援の柱」として、小児医療費無料化の対象拡大が各地で浸透しています。福岡市も『無料化の対象を拡大しなければならない時代の流れがある』として、全国12の政令都市を対象に調査を開始、小児医療費無料化の対象拡大を検討し始めました。

 現在、大阪市では小学校就学前まで、横浜市と川崎市は中学卒業まで入院費を無料化するなど、各都市によって内容に違いはありますが、対象を広げる方向に進んでいるようです。子供は3歳を過ぎてからも感染症に罹る頻度が高く、兄弟が多い程家計の負担も多くなります。3歳で打ち切りの現行の無料化制度では不合理な点も多く、早期の対象枠拡大が望まれます。

いむた小児科は久留米市諏訪野町です