◆99年11月(NO.49)
 
インフルエンザの合併症と予防
 インフルエンザの季節がやってきます。インフルエンザウィルスは渡り鳥が運び、毎年少しづつ変異するため必ず流行するものです。昨年のインフルエンザは今年の5月までも、この地方で報告されました。1月にA型、2月にB型が発生し、とくに大人が多く罹りました。小児科は全国的にもそれ程なかったようですが、例年同様一定率罹っています。

 小児の中でも乳幼児はまだインフルエンザに罹った経験がない為、格好のターゲットになっています。インフルエンザが普通の風邪と違うのは、鼻水や咳・熱程度では治まらず全身疾患へ移行するからです。身震いや熱性ケイレンを起こす程の高熱、食事や薬も受けつけない程のだるさやきつさが伴います。潜伏期間は2〜3時間から2〜3日と短く、短い程重症になりやすく現在のところ特効薬はありません。インフルエンザウィルスは呼吸器系や神経系に合併症を起こしやすく、同時に血液を介して全身へまわる為、肺炎や気管支炎・中耳炎・咽頭炎などを併発し、喘息発作やクループ、肺炎で入院することになります。

 最も怖いのは急性脳炎や脳症、心筋炎などの合併症に罹ることです。いづれも引き起こしたら重症で突然死の原因にもなっています。ウィルス専門の小児科医の調査では、昨冬のシーズン中に死亡が200人以上、死に至らない脳症患者が500〜1000人と推計しています。また、治っても後遺症を残すことが多く、脳性まひ・心臓病・心不全・老じては糖尿病の原因にもあげられています。
 慢性気管支炎や喘息、心臓病などの疾患がある人は、重症化しやすいので特に予防が大切です。日本の予防接種率は低く、アメリカと比べると大幅に遅れています。現状ではたとえ罹っても重症化を防ぐには、ワクチン接種で予防するしかありません。数年前、予防接種は無効と唱える人がいて、公費負担から外されたことが悔やまれます。実態をよく知って予防してください。
 
小児のくすり(抗生物質)
 小児の病気の大半は感染症です。抵抗力の弱い赤ちゃんや小児を、いろいろな感染症から守るために抗生剤は大切なくすりのひとつです。抗生剤はその働きから細菌を殺すくすりと、細菌が増殖するのを抑えるくすりに分類することができます。それぞれにくすりの種類は数多くあり、病状の変化に応じてその症状に合ったくすりを処方するのが治療のポイントです。

 大人と違って症状の進行が早い小児の場合、こまめな診療とタイミングの良い投薬が欠かせません。小児向けのくすりは細粒やシロップになっていて、オレンジ・イチゴ味などで飲みやすく工夫されています。でも、味がどんなに良くなっても、どうしても合わない(飲まない?)子どもさんもあります。シロップやゼリー・アイス・ヨーグルト・ジャム・ャーベットなど、工夫しても飲めない人や吐く人には坐薬や注射で症状に応じて使いわけます。処方されたくすりが飲めないときは必ず主治医に相談しましょう。

いむた小児科は久留米市諏訪野町です